SOCO/AO/SUNオーナー 関山善博オーナーインタビューPART2「美容師は自由に生きれることがいい」
み:このスピード感で出店してきているのは上々だと思いますか?
関:それだけリスクも背負ってやってきましたし、全くトラブルなくやってこれたわけでもなくて、毎回毎回人が足りないとかありますし、負荷をかけて走ってきたというのは正直あるんですよ。ただ僕の中で、今のうちにある程度のキャパまで持っていかないと、将来消費税を収めなきゃいけない時期がくる、それが対象事業になる3年後だってわかっていたので、それからだとなかなか投資に残せるお金が残らないだろうと睨みまして。それに1店舗だとキャッシュのたまるスピードになかなか時間がかかるので、この3年間にある程度の規模まではもっていっておきたいというのはあったんです。
み:客観的に見ると、この急成長って何が要因だったと思いますか?
関:やはり、人ですね。それ以外ないです。会社の方針と、採用してきた人がマッチした。そこには人間性が必須なんですけど。うちの会社って、この人伸びるなって思う人とか、中途の人は他で伸び悩んでいてもったいないなっていう人を採るようにしてるんですよ。僕は今までいろんなお店で働いてきたからこそだと思うんですが、すごく見てきたんですよ、そういう人を。なんで能力あるのに伸びないのかって考えたら、やっぱりお店、会社の運営方針なんですよ。これダメ、あれダメとか。抑制がある中でその人がモチベーションを保てなかったと思うので。うちが業績を伸ばせた要因があるとするなら、そこのマッチがうまくいったからからかなと思っています。
み:自分のお店を拡大していく時に一番大事なことはなんですか?
関:予測することは大事だと思います。数字とか、データとか。準備として。予測の範囲でコントロールできるものってそれなりにあるとは思います。でもその一方で、現場では予測の範囲にならない全然違うトラブルとかが起こったりするんですよ。そのトラブルって、大きいものってだいたい「人」です。人の感情だったり、情動だったりとか。それとどう向き合うか。これは予測の範囲とか、ロジックでは考えられないです。パーソナリティも違うし。そういったものをどう察知するかが、僕は重要だと思います。
み:じゃあお店にとって難しいのは?
関:それも、結局人です。つまるところ人以外っていうのはビジネス上、ほぼないです。美容室のビジネスモデルって、ある程度たたき台があって、その中でどう動かすかという幅の動きなので。今のところむちゃくちゃでかいイノベーションが起きる業界ではないと思っているので、そうなると人の情報、心情をどう捉えるかというところだと思いますね。
み:現状、満足していますか? 短期間で3店舗出して。
関:いやー、全然満足はしていなくて、やりたいこと、伸ばしたい領域はたくさんありますし。別なベースモデルの事業だったり、いつも考えていますし、やりたいことはいっぱいあります。
み:学生に人気があるのはなんでだろう? 自由そうに見えるのかな?
関:そうですねえ、それもあるみたいですね。うちのスタッフは僕がいうのもなんですが、仲がいいので、僕とはみんな違うキャタクターなんですよ。ドレッドもいるし。これはダメっていうのがないんですね。でもダメっていうのがない組織って、モラルがなくなったり、変な方向にいきがちじゃないですか。そこはマネージメントする方が、きっちりボーダーラインを作ってて、例えばパワハラ・セクハラについてなど、自由なんだけど全体のフレームはカッチしています。モラル的に。そういったことが、今はSNSから伝わったり、スタッフの縦の関係で伝わったりするのかなと思います。
み:そのスタッフには日頃どういうことを伝えているんですか?
関:今後会社としてどうしていくかというビジョンだったり、売り上げとか、生産性とかデータの話もはします。基本的に全数字を公開した中で、責任を持って何か仕事に当たれるということはあるのかもしれないですね。
み:これからどうしていきたい?
関:消費税が発生するまでは、拡大・投資で人も増やしてやってきて、今年は内容の充実をやっていきたいと思っています。店舗は出店しないと思いますし、内部的な地固めをしたいです。3店舗になって、30名を超える組織になってくるのでマネージメントの難しさは出てくると思いますし。どう運営していくか、どう仕組みを作るか。各店舗が責任を持ってどう売り上げを伸ばしていくのかという環境作りをしたいと思います。
み:一美容師としての話にうつりましょう。どうして美容師になろうと思いましたか?
関:高校の時に、いっこ上の彼女が「美容師になる」っていったので、あ〜年上の彼女が美容師か〜、で俺は大学行って会社員になって〜って想像するとダサいなあとか思っちゃって(笑)。スーツ着るのとかダサいなあとか思って、美容師になろうと思ったのが最初です(笑)その程度です。学校は山野です。
み:アシスタントのころはどんなことを考えていましたか?
関:まだ職人的な体育会系なノリが残っているサロンで、でも僕はロジックで話すタイプなので、よく先輩や上の人を怒らせていましたかね。例えばフロアが回らない理由をロジカルに話しても、それはお前の気合いが足りないからだと返されたり(笑)。そういうのって無駄なんじゃないかなって思っていたアシスタント時代です。
み:デビューしたのは?
関:中途で入った店で、25歳くらいでした。その間にCHOKiCHOKiで撮ってもらったりして、デビューしてすぐにgeneration-Hという若手美容師の企画に出させてもらって、割とすぐにメンズのお客さんがつくようになりました。
み:美容師の仕事ってこういうことなんだってわかったのっていつくらい?
関:僕は、昔はクリエイションがやりたいっていうタイプの美容師でした。美容師にはお客さんをかわいくしたい、売り上げをあげたい、いろんなタイプがいると思うんですが。僕はクリエイションがやりたいサブカル系美容師だと思います。でも、僕より才能がある人がたくさんいるなって思ったんですよ。内田聡一郎さん(LECO)とか。そこで戦っても勝てないんじゃないかなって思った部分がありました。それと僕は人の髪を切るという行為において、人の感情があるとスパっていけないタイプなんですよ。内田さんとかはできるのかもしれないです、クリエイティブなデザインをしていく上で。僕はできない。
ただその一方でHPとか内装とかは、物質なので、それは自分でコントロールできる。ディレクションできる。この点において、僕は能力があるんじゃないかなって気づいたんです。そっちの方が能力を発揮できるかなと思って、やるようになりました。名刺のデザインとかも。
み:じゃあどんな美容師になろうと思ってたんですか?
関:初めは業界誌とか、デザイン系が好きだったので、デザインをして有名になるような美容師になりたいと思っていました。当時は。
み:今はそうではないと?
関:今はヘアデザインで新しいのを生むことが比較的難しくなっていると思うので……個人的には。世の中のものって、音楽とかも、今まであったもののあれとこれを合わせて新しく見せてというものがあって、ヘアに関してもそうじゃないかなと思っていて。だからビジネス、マネージメントとかに向かっていきたいです。
み:ということはデビューした時に思い描いていた像とは違うよな?
関:そうですね。全然違うことになりましたね。
み:美容師辞めたいと思ったことはあるの?
関:辞めるという選択はなかったですね。一切。店舗変わりながらも疑いなく。
み:売り上げにこだわった時期とかは?
関:僕は商売下手で、自分のこと、自己ブランディングはうまくないと思っています。お客様に何か商材を勧めたりとか。恥ずかしくてできないタイプなんです。でも松尾(AO代表)とかは全然できるやつで、お客様もすごく満足して帰るんですよ。そのあたりからみても、僕は美容師としての能力が他の人よりもない、もともとコミュニケーション能力も高くない。
み:それをコンプレックスに思ったことはあるの?
関:あるはあるんですけど……美容師って、売り上げが伸びるかどうかは開けてみないとわからないところがあるんですよ。スタイリストデビューしてみないと。アシスタントのころに華々しくても、デビューするとそうでもなかったり、逆のケースもありますし。うちは、他でうまくいかなかった人たちが集まっているケースが多いんですが、その人がうちに入って伸びたり。ということは仕組み作りが重要なんじゃないかなと思っていて。つまり売れない理由を本人に求めるのか、それとも運営する側のマネージメントにあるんじゃないかなと思い始めましたね。
み:ひょっとしたらYOSHIは、人のことを見抜くのがうまいんじゃない?
関:そうかもしれないですね。何かを分析することが好きなので。人とか、この人はどういう人なんだろうかと考えることが好きみたいですね。
み:美容師とはどんな仕事だと思いますか?
関:どうなんですかねえ(笑)。通常のよくある、人を綺麗するとか言いますが……僕は、なんだろう……ネット系のビジネスもあるし、ビジネスの枠で考えているんですね。美容師を。そういうのをリリースしちゃうとダサくなっちゃうんであんまり言わないんですが……。
僕が思うに、HPのリクルートのページで書いたように、美容師って自由に生きれるということが最も良いことだと思っています。ほとんど自分次第、じゃないですか。うちが学生から人気があるとしたら、美容師って自由であることがカッコいいことであって、好きな服着てとか、そういうのがうちだったらできるっていうところが思ってもらえてるんじゃないかなと思いますね。アクが強い人が多いじゃないですか、美容師って。俺が、俺がで。自由に生きれるということは素晴らしい仕事だなと思っていますね。
み:他の仕事もしそうですなー。
関:やりたいです、やりたいです。
ね? 話している内容は論理的で、自分の理論もしっかりある。職人さんというより、経営者って感じでしょ。非常に頼もしい感じがします。SOCOが美容学生に人気なのは、雰囲気や自由さもあり、ここなら安心かなって思わせるものがあることが理由なんじゃないかなと思いました。
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