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ハートに火をつけて【すでに一つのファッションカテゴリー『彼岸』のストーリーを追った/前編】

■【彼岸前夜】大崎龍之介編

―まずはそれぞれのヒストリーを聞かせてください。大崎さんの出身はどちらですか?
大崎「高知です。東京には22歳できました」

大崎龍之介(27) 172cm @_rlqo_1

―上京するまでは何を?
大崎「高校卒業してからは理学療法士を目指す専門学校に通って。地元のセレクトショップに勤めたあと、知り合いと二人でラーメン屋を始めました。そこが軌道に乗ったタイミングで抜けて、それから上京しました」
―ラーメン屋とは意外でした。
大崎「もともとお店をやりたいっていうのはあったので、経営的な最初の勉強になるなっていうので 一緒にやり始めたんです」

コート/Charles Jeffrey 、ジャケット/Charles Jeffrey

―東京にはあてがあったんですか?
大崎「なにもなくて。もう20万ぐらいのお金と服だけ持って、友人の家に転がり込んで住ませてもらいました。準備してお金貯めてから行くよりか、もう早く行っといた方がいいかなと思って」
―夢を掴む人のストーリーっぽいですね。東京へ来た目的はなんだったんですか?
大崎「アパレルで成り上がりたいとか、お店出したいとか、そういう気持ちですね。やっぱ東京の方がいいかなって」

インナー/古着

―知識的なことあったんですか?
大崎「いえ、とにかく服が好きで。服はめちゃめちゃ買ったり、アパレルでも働いたりもしたし、みたいな感じです。もうクレジットカードもすごく使ってて、一時期合計で300万円近くの借金があるくらい、めっちゃ服を買ってました」
―それで、上京して何をしましたか?
大崎「まず普通にバイトですね。バイトしながら知り合いを増やすために、いろんな人に会ってましたね。インスタで繋がってる人に片っ端から「会いましょう」って連絡して、会った人には飲み会とかご飯行くときにまたお誘いいただいたりして。お金はご飯行ったり飲みに行ったりすることに全部使ってましたね。週5〜6で飲みに行って、 日中の時間は知り合いに会ったりとかする時間にあてていました。もう暇な時間ができないようにスケジュール組んで、服関係の人を中心にいろんな人に合いまくってました」

パンツ/Charles Jeffrey 、スカート/Charles Jeffrey

―いっぱい人に会うっていうことが有効だと思ったのはなぜですか?
大崎「やはりアパレルはコネクションが大事だと思っていました。知り合いが多い方が得なことも多いですし。素早く情報を入手して、今の東京の状況とか、日本中のアパレルの情勢を自分なりに把握して、自分なりにどうやって動いていくかっていう戦略を考えるために。準備の段階という感じで、 先輩や年上の人とかにもたくさん会って、話を聞いていました」
―ずーっと居候ですか?
大崎「僕、上京して2年ぐらいの間に9回ぐらい場所を変えてるんですよね。友達の家だったり、彼女の家だったり、 バイヤーの仕事をいただいてニューヨークに3〜4か月ぐらいいたり、北海道に住んでいたこともあったり、色んなところを転々としてました」

アクセ/アンティークゴールドジュエリー

―そんな動き方をしていて、彼岸オープンはいくつのときですか?
大崎「25歳です。彼岸をオープンするまでは、いろんなことがありましたね。ずっとギュンギュンで」
―ハイスピードな3年ですね……
大崎「ざっくり流れを言うと、上京する→いっぱいいろんな人に会う時間がぐわーっと始まる→ その繋がりからスタイリングのお仕事をいただくようになる、そして……」

シューズ/古着

―スタイリストもやったんですか?
大崎「最初は仕事でもなくて、知り合いのジュエリーブランドの衣装の依頼をいただいて、それがVOUGEとかにのったんです。それで自信もついてスタイリストを名乗ってみたら、知り合いからちょこちょこ仕事をもらうようになっていきました。彼岸がオープンして忙しくなったのでできなくなっていたんですが、今ちょっとゆとりが出てきたので、最近また撮影に行ってきました」
―そうなんですね。
大崎「ほかにもイベント業とか。それも全然お金にしてなかったんですけど、上京して8か月くらいの状態で、知り合った人たちをいっぺんに集めて初めてやったら150人ぐらい来てくれて。そこから半年に1回ぐらいするようになって、だんだん増えてきて最後300人ぐらい来てくれるようになったんです。それで、いっぱい知り合いが増えたので、アパレルの転職の支援をする会社と業務委託をして仕事を紹介したりしていました。それとオンラインで古着屋もやって」
―へぇ〜……。
大崎「でも、一つひとつがまとまったお金になるわけじゃなくて、コツコツコツコツやって。そして理一に声をかけて彼岸オープンやったみたいな」
―いま古着屋さんじゃないですか? どれがやりたかったはあるんですか?
大崎「古着屋というより、結局これもファッションを楽しんでいる仕事なので。セレクトをやっていたりとか、結局ファッションショップみたいな感じで。ウチは古着屋って感じじゃない。ファッションを楽しむお店なんです。 だからずっとファッション楽しんでるってことには一貫性があります」
―そんなにアグレッシブに色々やる性格だったんですか? ちっちゃい頃から。
大崎「そうですね。結構突発的にやり始めるタイプだったですね。今は落ち着いたんですけど、当時はもうかなりアグレッシブでした」
―ちなみに服に興味が出たのはいくつぐらいですか?
大崎「めっちゃ遅かったですよ。19歳とかで」
―なにかきっかけがあったんですか?
大崎「服好きな友達がいて、その子の影響でしたね。それから服に興味を持ち始めて。でも、高知にはあまり服屋さんがないので、色々勉強をしてたんです。ブランドの歴史とか色々。日本や海外にどんなブランドがあるんだろうって。90年から2000年初頭ぐらいの日本のムーブメントとかすっごい好きで、その辺の話は先輩からも聞くのもすごく楽しくて」

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