■自由を手にするために、ちゃんと美容師として社会人として努力はしよう
―面接は何回ありますか?
渋井「面接を一回やって、その後にサロンワークをして合否を決めます。面接は基本、人事担当をしているスタイリストと、後は各店舗の店長と幹部5人ぐらいで。集団が基本です」
―特にこれを聞いていますという質問はありますか?
渋井「趣味でもいいから、好きなことについて1分間しゃべってくださいというのがあります。これめちゃめちゃいい質問だと思っていて。緊張してこっちからの質問には表情がこわばるけど、みんな自分の好きなことだったら喋れるんですよ。顔がやわらぐんです」
―いろんな人がいる、会社が応援してくれる、自由という言葉がキーワードになっていますが、自由と責任って表裏一体な気がします。
古河「自由だけど、なんか甘いみたいな、なんでもいいみたいなことではないんですよ。自分がなりたい美容師像になれるように、それをどんな選択をするのかは自由だし、それを会社は後押しする。管理するのではなく応援する側に回りたいっていうのが会社の考え方です。でも本人もなりたい自分になりたいんだったら、ちゃんと習得できるように本気で練習しよう、気配りや接客の面もしっかりしようということは言います」
―ですよね。
古河「やりたいことを叶えるためには、ただ会社におんぶにだっこで応援してもらって、何でも自由だというのではなくて、自由を手にするために、ちゃんと美容師として社会人として努力しようねっていう大前提はあるよ、という感じです」
―わかります。
古河「一見アットホームな雰囲気に見えるんですよ、ウチ。なんか尖ってなくて、ファッションもバチバチじゃなくて、居心地いいみたいな雰囲気で。でも、それを勘違いしちゃった人は続かないかもしれないです」
―どんな人が辞めていきましたか?
古河「大体残りますけど、辞める人もいます。色々な事情がありますね。本音はどうかわかりませんが、違うことを学びたいとか、地元に帰ってゆったりやりたいとか、家庭の事情とか。あと美容師自体が向いてないかもしれないとか様々です。でも、ウチは風土的にスタッフ同士の仲がよくて、休日でも遊びに行ったりしているくらいです。僕は辞める子には、いつでも戻ってきなとは言っていますよ。実際出戻りの人もいるし」
―え! 出戻りOK? この取材で2サロンめです。
古河「逆に、なぜダメなのかがわからないです。もっと何かにチャレンジしたいとか、ほかのお店の技術を見てみたいとか、前向きな意見で辞める人は説得も何もないので、やりたいと思うんだったら絶対思いきりやったらいいですよね。すると隣の芝生が青く見えていたとか、勘違いしていたみたいな。もう一回チャンスくださいって言ってくるとか。そういうことが過去にもあって。ウチも去るものは追いませんが、やっぱり辞められるのはしんどいですから」
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