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SHACHU オーナー みやちのりよしPART2「SHACHUは僕じゃなきゃできない」

三:SHACHUを出店したいと思ったのはいつごろですか?

み:リアルになったのは27歳くらいです。29歳までに出さなきゃいけない、もうすぐだなって思ったのが27歳くらいでした。もがいてもがいて、28歳の時にもう退職するっていう腹の括りを持って、覚悟を決めて「独立します」と言いましたが、会社側も「お前が?」というような反応でした。そりゃそうですよね、50万円だったんですもん。それから結局、3席のみの小さなお店を渋谷に出しました。今の神南店の4階でした。10坪くらいで。
その当時、いつもモデハンで会っていたモリヨシという友人がいたのですが、同じくまあまあくすぶっていて。彼と話をしていて、一緒にやろうかと。でも始めたものの初月2人で100万円しかいかなかったんですよ。それが2年で2人で1000万円やるようになったんです。落ちこぼれの二人が。

三:やりたいことを曲げずに、でも50万円の売り上げしかないのに、勝算はあったんですか?

み:ありました。

三:根拠は?

み:一つだけ。「二人で100万円しか」という言い方をしましたが、100万円あったら卵かけご飯は食べられたんです。家賃もそこまで高くなかったので。生きてはいけると思っていました。それが僕らの勝算です。ここまでいけるとは思っていなかったですけどね。いかなきゃとは思っていたし、頑張ろうとは思っていましたが。
それと独立してモリヨシを雇ったときに「俺は自分のためじゃなくて、人のために頑張れる」って思ったんですよ。これからは一人だけのことじゃない、自分のためなら手段も選びますが、人のためだから手段を選ばない。そうして次にアシスタントでまなちゃんという子が入るんですが、そうなるともう売り上げを作るしかない。休まない。自分が強くなれました。

三:タフだなあ。

み:あとは渋谷はホームタウンだったので、街の様子はわかっていたんです。だいたい人の流れもどうできているかとかも。住んでいたし、クラブにもいっていたし、センター街もウロウロしていたし、渋谷と一心同体じゃないですが、そんな感じでした。銀座で働いていた時より、めちゃくちゃわかるし、めちゃくちゃやりやすいし。俺の街だって思ってましたから(笑)。

三:でも無名でしょ?

み:もちろんです。僕のこだわりで前の店の名前は一切使わなかったんです。というのはそんなの図々しいし申し訳ないし、あとSHACHUというのがぼやけてしまうというのも嫌でした。僕はそもそも3つのコンセプトは決めていて、①『お客様は全員VIP』どんなお客様でもVIPとしてやること。②『スタッフは宝物』スタッフは死ぬほど大事にしようと思っていて。③『ヘアスタイルを通して幸福を生み出す』ヘアスタイルは生活の一部ですから、ちゃんとキメていかないと、その人の1か月2か月の幸福がなくなってしまうということを、みんなにもいっています。それは今もブレてません。

三:最初の集客はどうしていたんですか?

み:ほとんどモデルハントですね。でも一番すごかったのは口コミでした。もともと渋谷でモデハンした子たちを銀座に呼んでいたのですが、それってもとは渋谷にいる子たちなんですよね。その子たちが友達をすごいたくさん紹介してくれたんですよ。モデルさんやタレントさんも。渋谷にお店を出した半年間で、すごいことがめちゃ起きて……眠っていた自分の力が爆発的に発揮されました。カラーとかがインスタグラムで話題になってとか、次から次へと爆発が起こって、オープンして半年で僕の売り上げは月に250万円とかいってました。

三:よかったな〜。

み:できるんだ俺、と思いました。

三:してやったりですか?

み:いや、そんなんじゃないです。よし、まずはステージに立ったって思いました。売れたことで発言力もつくし。

三:お店のコンセプトは聞いたけど、どんなサロンをイメージしていましたか?

み:どんどん前に進んでいく。やらされる仕事じゃなくて。やりたい仕事で前に進んでいくのが好きだったので、スタッフのみんなのやりたいがあふれた感じであればなと。ウチ、みんなけっこう元気じゃないですか? のびのびしていません? これがもう僕の理想で、やりたいを叶える店にしたかったんです。例えばKOUSEIは有名になることが目的なんですけど、ざっくりしてるけどそれはいいなあと思ってますし。

三:その話を続けたいけど、どんなスタッフとやりたかったんですか?

み:元気です。超器用とか超可愛いとかより、元気なスタッフが一番。楽しいし刺激になるし。生意気でもいいんですよ、思っていることを隠されているより。逆にいうと、それは素直ってことだから悪いことじゃない。

三:自分が思い描いた通りの店になってます?

み:それより上にいっている気がしますね。こんなに仲間がいることで、パワーが加速するんだっていう、仲間が手を取り合った時のパワーは半端じゃないですね。

三:最初のお店を出してからどのくらいたちました?

み:今4年半です。この渋谷本店は最初に出してから一年半後です。

三:早っ!!

み:オープンした時3席で、増築して4席にして1年後に2人で500万円、ここに来る直前まで4席で600万円くらいやっていたんです。

三:一年半後に出したってことは、どのくらい前から考え始めたってこと?

み:半年前くらいからヤバいねってなって探していて、ここが見つかって。そのころはきつかったですね。売り上げもあげながらプレスもやって、お店の手続きとか。忙しすぎてヤバかったです。

三:ここは7人でスタート。

み:7人で3か月後に1000万円いきました。

三:スタッフは、どういう集め方をしたんですか?

み:うーん。まず一人目、さっき言ったまなちゃんは、もとは僕のお客さんで来てて「ここで働きたい」って言われたんですが、前の店の事情からすぐ来ることになっちゃったんです。さすがに慌てましたが、僕とモリヨシで月130万円やろうかって覚悟決めたら、その月に150万円いったんですよ。さらにまなちゃんが入ったおかげで、結局年末には3人で400万円くらいやれることにはなるんですけど、くたくたでした(笑)。

三:それから増えていって、7人が全部イメージ通りの人?

み:そうですね。運というのもあるし、あとお店としてSHACHUって、僕が作るものじゃなくて、みんなが作るものだって意識があるんです。亀山社中(お店の由来となった幕末の商社。詳しくは坂本龍馬の物語を読むべし)ってそうじゃないですか? みんなのいいところを吸収して、今のSHACHUがあります。もちろん僕は代表だし、僕の店というイメージは強いと思うんですけど、自分は今いる25分の1としか思っていないです。トップは僕ではあるけど、みんなで作る。スタッフに対しては、君たちの応援をしたいって感じです。

三:この店は自分だからできたかなっていう自覚みたいなものはあります?

み:今でも「SHACHUは俺にしか作れない」と思っています。めっちゃ優しいというか、思いやりを大事にしているから。嘘つかないし、絶対信じてあげるし、嘘つかれても信じた方が楽だから。みんな素直な子が生まれるし。あのムードというか、ピュアだし、わがままですけど(笑)。定休日はありますけど、自主的に練習しに来ています、みんな。俺は頑張るし、許してあげるし、背中も見せるし、結果も残すし、全部やる。しかも謝るし、お願いもします。営業中に自分がピリついた時には、終礼の時に「ムードを悪くしてすみませんでした」と頭下げます。オーナーとしてというより先輩として。

三:じゃあもっとこうしておけばよかったなというのはありませんか?

み:店のことはあんまりないかな……自分のことで、注目されるようになって太った時期があったので、まずいと思って昔の宮地の体型に戻しました。俺は黒子だと思っていましたが、自分がカッコよくなることを怠っていました。僕にスポットが当たるってことに気づいてなかった。

三:お店が急速にここまでなれたということを客観的に分析すると何が原因だと思う?

み:その時その時の戦略が当たった。よくやったなって思います。最初は口コミ大作戦、ウチは派手なカラーもやっていたから「それどこでやったの?」とその子の周りで話題になったりして。次はインスタ。インスタは同時期に打ち続けていたんです。いつかこれで集客できるようになるからとピンと来て。女性の後ろ姿を撮るのを始めたんですが、あれをやっている人っていなかったから。あれってお客様が一番見たい情報かなって思いまして。情報量として十分だと思ったんですよ。それが爆発的に当たったんです。これが第2フェーズ。でも、その時に調子にのらずに、お客様がVIPであるということを徹底して。そうしたら最初の頃はリターン率が90%だったんですよ。

三:すげー!

み:すごいですよ。自分でびっくりしました。そのあとは、インスタだけの美容師じゃつまんないから、撮影頑張れといって。作品撮りの撮影を1年間頑張った時があって、そしたら撮影の依頼がたくさん来ました。そしたらSHACHUはクリエイティブも強いって広まって。インスタについては、後ろばっかり撮っている美容師はつまんないから「自分を載せようよ」と、自分をのせるようにしたら今度はインタビューが増えていったと。認知も広がりました。まだまだ戦略はありますよ。

三:へー楽しそうだね。

み:毎日楽しいですよ!

三:オーナーとしてSHACHUのビジョンはどんなものですか?

み:これは絶対やるっていうのは「みんなを守らなきゃいけない」ということ。車が欲しいとか個人のことは優先順位が低くて、それはラストでいい。まずは守る。何かあってもこの子たちは守る、この子たちの可能性を、お金イコール可能性だと思うので、そのシステムを作る。給与体系も、ウチはボーナスを出しているし、今の美容師さんで100万円をもらえるってあんまりないと思うんですが、僕はそれを作りたい。それは営業面とは違うベクトルで、お金を作るようなことができれば可能かなと思っています。

三:そういえば新卒いっぱい来るらしいね、地方でも有名だって聞くよ。

み:約300人くらい応募が来ます。

三:みやちさん個人としては、美容師とはどんな仕事だと思いますか?

み:夢を与えることもそうだし……そもそも東大卒の家庭にも関わらずというところから始まって、自分がやりたいことやってきたから、もう「自分」って感じですよ。こうなりたいことが夢でこうなっているので、夢を与えると言いつつ叶ってますからね。これからも叶え続けるんですけど。もう夢そのものです、夢がある仕事だと思いますよ。個性も出せるし、自由だし。

頭脳明晰な戦略家ではあるんだけど、絶対的な運の良さも持っている。特に人との出会いの運については、一つの物語ができるほど。それもみやちくんの人柄がいいからなんだろうな、それも実力だなと思います。その人の運を象徴するのが、インナビュー中に出てくる最初の2人、モリヨシさんとまなちゃんさん。実はこの2人にもお話をうかがうことになっています。SHACHU躍進のサイドストーリー、ご期待くださいませ!!

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