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Lysa YUKIさん PART2「お客様が髪型だけじゃなく、自分に会いに来たくなるような美容師になりたい」

み:話は戻ります。どうして美容師になろうと思いましたか?

Y:なにがきっかけだったかははっきりわからないんですが、わりと子供のころから、姉の影響もあって美容とファッションが好きで。小学校のころから雑誌を読むということが何よりも楽しかったんです。特に美容のページが一番好きだったので、そこから美容に興味を持ち始めました。それで、小学生の時に初めて美容室に行って、今までは長さを変えるだけだったのが、形を作ってもらうことにすごくびっくりして、「美容師っていう仕事いいな、美容室に行くっていいな」って思い始めました。それから高校生になって髪を染められるようになったので……ほんとはダメですけど(笑)、そのころも雑誌のサロンページが好きだったので、東京の有名なサロンに行くようになって、絶対こういうところで働きたいと思うようになりました。もう高校2年の時には都内の有名店で働くって完全に決めてましたね。

み:高校は進学校だったんですか?

Y:普通ですよ。でもだいたいの生徒が大学に行く学校だったので、親からは反対されましたけど。

み:それから美容学校に行って最初に入って。美容師ってこういう仕事なんだってわかり始めたのはいつ頃ですか?

Y:専門学校のころもわかっているつもりではいたんですが、最初に店に入社してから美容師ってこういうもんなんだなって本当の意味で思いました。

み:どういうことで?

Y:きついとか大変とかは、想像しきれてるつもりだったんですが、全然想像以上で。入ってから想像の100倍辛かったです。

み:それは収入面も含めて?

Y:それはあんまり気にしてなかったので、考えてなかったです。今の学生さんは気にしているって聞きますが、私はアシスタント時代って特に考えてなかったです。

み:アシスタントのころは何を考えていましたか?

Y:毎日、デビューしたいと思っていました。早くデビューしたいなって。アシスタント時代は誰よりも努力したと思います。いつも一番早くお店に行って鍵を開けたりとか、夜は同期とかと一番最後まで残っていたりとか。本当に早くお客様をやりたかったです。もともと都内の有名店ってかわいい子が集まってくるところで、私はそこが武器じゃなかったので。例えば雑誌でスナップが流行っている時代ってかわいいアシスタントがたくさん出ていたと思うんですが、私はおしゃれでもかわいくもないし、技術で頑張らなきゃいけなかったので、誰よりも練習をして一番になろうと思っていました。でも、そのはずなのにシャンプーテストをやっていた時は同期で一番ビリで(笑)、この先思いやられるな〜って思ったんですが、レッスンが始まってからはずっと早く進んだので良かったです。そういえば営業後とか休みの日は全部モデハンに使っていたような気がします。

み:デビューまではどのくらいかかりました?

Y:2年ちょいだと思います。

み:けっこう早くないですか?

Y:わりと。その当時では珍しいかもしれないです。でも本当に早くデビューしたかったので。

み:お客様を早くやりたいっていうのは、収入のことなのか、それとも自分の手でお客様をやりたいっていう気持ちなのか……。

Y:自分でお客様をやりたかったんです。早く雑誌の撮影、ヘアカタログもやりたかったです。あの時は若い世代向けの雑誌が流行っていたので、多分若い子向けの雑誌って若い感覚じゃないと難しいんだろうなと思っていたので、若いうちに早くやりたいなって思っていましたね。

み:アシスタントのころに嬉しかったこと、きつかったことはなんですか?

Y:日々きつかったんですけど……本当に入って半年は怒られることしかなくて、飛び抜けた才能もなかったので。半年経ったくらいから先輩に褒められることがあったりして、それが嬉しかったですね。それに何かができるようになってとか、スタイリングとかヘアメイクをしてお客様やモデルさんが喜んでくれたりするのが嬉しかったりとか。あと社長が、当時有名なすごく厳しい人だったんですよ。だから社長につくのが何よりも辛くて逃げ出したかったんですけど、そんな社長が「良し」としてくれることは、自分にとって、美容師としてヘアメイクとして向いてるのかなと気づけたりしたので、それは嬉しかったですね。

み:具体的にはどういうところですか?

Y:社長からメイクを褒めてもらうことは多かったです。ダメなところは容赦なく指摘してもらいましたが、いいところは『高橋有紀はこれができる』と言ってもらえたので、その言葉が今に活かせている、つながっているのかなと思います。

み:そのころはどんな美容師になろうとしていましたか?

Y:最初入社した時に面接で言ったことを覚えているんですが、「お客様が髪型だけじゃなくて、自分に会いたくなるような美容師になりたいです」と。それは今でも変わらず思っていることです。今は野心みたいなものはなくなっちゃったんですけど、デビューしたころはガッツがあったので、売れっ子になりたいと思っていましたね。

み:売れっ子になりたいのは今も変わらないですか?

Y:その時の売れっ子になりたい精神は、2店めを辞めるころにはなくなっちゃいました。そのガツガツした部分は変わってしまったんですが、来てくれる人をかわいくしたいとか、カッコよくしたいという気持ちは変わっていなくて。技術面だけじゃなくて、会いに来て喋りたいって思ってもらえるような美容師になりたいなっていうのはいまだに思っています。

み:2店めのお店には何年いました?

Y:1年半です。お店は売れっ子美容師として私を育てたいといってくれたんですが、私はもうその時には有名な美容師になりたいって思わなくなってしまったので。

み:なぜですかね?

Y:なぜですかね? なぜだろう?? 自分のペースでやりたくなったんですかね……。ヘアカタログにいっぱい出たいって思っていた時期もあったんですけど、その頃はやりたい気持ちのある後輩がやれるようになったらいいなと思いました。

み:スタイリストになってきつかった時はありましたか?

Y:きつかった時……多分あったとは思うんですけど、お客さんをやっているのが楽しいっていうことの方が強かったから、印象としてはないですね。

み:じゃあ、嬉しかったことは?

Y:うーんなんだろうな……その都度その都度あるんですけど…。例えばデビューして最初に売り上げを100万円やろうって目標を決めて、それが達成できた時は嬉しかったですし、雑誌の表紙をやりたいって思ったときにCHOKiCHOKiの表紙をやらせてもらって嬉しかったとか。そういう嬉しいはたくさんあったと思うんですけど……今はそんな大きい嬉しいより、お客さんが来て喜んで帰ってくれることが嬉しかったりします。

み:ちなみに美容師を辞めたいと思ったことはありますか?

Y:多分ないと思います。アシスタント時に「逃げたい」はあったんですけど。「今すぐ消えたい」はあったんですけど、辞めたいはなかったですね。

み:自分でお店をやりたいと思ったのはいつごろですか?

Y:2店めを辞めると社長に話した数ヶ月後です。独立願望は全然なかったんです、とりあえず面貸しで美容師をやって、それとヘアメイクを両立させていこうと思っていたくらいで。辞めるまでに半年あったので、その間にどうしようかなって思っているときに、いろんな人から「自分でお店やったらいいじゃん」って言われて、あーそんな選択肢あるんだって気がついて。やってみようかなって思いました。

み:今のLysaは自分が描いた通りに経過していますか?

Y:もともとお店のビジョンを描いてなくて、自然な流れでできたお店なので。そうですね……でも今6年目になったんですけど、6年も続けられてありがたいなと思っています。2012年の9月にオープンしたので。

み:これからはどうしていきますか?

Y:それがあんまりなくて。その都度その都度はあるんですよ、その日にこうしていきたいと思ったりとか。もしかしたら来月はメラメラしているかもしれないですが、あんまり目標とかは持っていなくて。

み:現状維持?笑

Y:現状維持と(笑)、後はやりたい仕事をやりながらプライベートも楽しんでいけたらなという(笑)

これがYUKIさんが手がけたCHOKiCHOKiの表紙。CHOKiCHOKi史上最大部数をセールスした号になりました。当時のヒット企画満載だったので、確かに運がいい(笑)。実はYUKIさんのセンスは、けっこう早くから注目されていてウチもそれにのっかってお願いしたんですが、今の活躍をみれば当時の予感は間違いなかったことになります。でもその裏付けは、美容が好き、ヘアメイクが好きであることと、努力を惜しまなかったことにある。どんな分野にも共通することだけど、こういうことが大事なんですね。

 

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