『美容師と服』vol.1/grico vintage

grico vintage


◼️インタビュー「美容室がヴィンテージショップをやることについて」

―古物商の許可証は取得したんですか?
エザキ「取得しました。先日も講習を受けました。ヴィンテージショップをはじめてわかったのは、この業界はあんまり広くない、けどファン多いことです。それでつながりで派生していろいろ広がっていく。今までサロンだけだと美容業界と芸能人との関係だったんですけど、それにヴィンテージ業界という関係もできた。いろいろ絡めながら掛け算していくと、無限に広がっていくんですよ。そしてそれが結局サロンに還ってくるという手応えがあります」
―へー、なるほどー。
エザキ「グリコも16年目なので、毎回新しいものを出し続けないといけない。新しいエッセンスを置くっていう中では、やっぱ面白いですよね。年代も若い子だけじゃなくて玄人にも広がっていっていて、大阪のヴィンテージマニアの方がサロンに髪の毛をやりに来てくれたりとか、そういう繋がりが増えています」
―新しいサイクルですね。
エザキ「うちが他の古着屋さんと違うのは、資本がサロンにあることなんです。どんな商売でも、商品を安く買ってできるだけ高く売るというのが普通だと思うんですけど、ウチはサロンがあるので大胆にできています。全部A軍で揃えられるというか。例えばこんな貴重なTシャツって普通は飾れないと思うんです。いい服を買ってくるのは、難しいことなんですけど」

―それも特徴なんですね。
エザキ「今は総計で500万円ぐらいは売り上がっていますが、いいものを買ってくるから、利益率はめっちゃ低いです。やっぱりグリコクロージングの方が利益率は高い。それでもやるのは、もうほんと気晴らしみたいな感じで。でもお客様は大いに喜んでくださっていて。さっきの彼とかも20万ぐらい買っていってくれましたし」
―もっと広げていくんですか?
エザキ「これで広げるつもりはないですね。僕が美容師であることは認知されているから、新しい繋がりができることは、結局美容の方に還元されるんですよ。例えば出会ったバイヤーの彼女がヴォーグのカメラマンだったりとか、繋がりが増えていくんです」
「グリコヴィンテージでは、VCMのイベントに出るとか、そういう挑戦をしてみたり、芸能人さん顧客とかが増えるとかはいいと思うんですけど、店舗を持つとかまでは考えていないです。日本のヴィンテージショップの人たちは、むちゃくちゃ努力して揃えてるということもやってみてわかったし、その繋がりを作るほうがいいと思っています」
―なるほど。
エザキ「あとは、お客様を育てないとダメだなあとも思いました。グリコクロージングの方は商品のルックスを見て良かったら買ってくださるんですが、ヴィンテージは知識とか考え方とか背景とかをみて、本当にこれが好きみたいな買い方なので。今の若い子はそれも知らないから。そういう音楽も聴いてないじゃないですし。Tシャツ、カッコいいなあで入って、音楽も聴いてみるとかディグってくれたらと思います。美容師も、ただ人の髪を切ってTikTokにアップしてとかじゃなくて、もう少しカルチャー色あった方が面白いなって。僕が美容師代表してやろうかなと思ったりもします」

―美容の方では動きはありますか?
エザキ「勉強もするし仕事もするしで、今まで以上に働いています。ただセミナーは、今は例えば貧困で困ってる家庭の子たちに髪の毛を通して何かをするというセミナーなど、新しい方向にシフトし始めています。新しい形もどんどん見せていかないと。美容師ってずっと髪切って、同じような大会出て。それをずっとやり続けるのもいいとは思うんですが、もうちょっとやれることがあるんじゃないかなって。だからいろんな挑戦、今回のヴィンテージもそうですけど、ほかにもテレビ局と商品作ったり、リップクリームやシャンプートリートメント、洗顔料を作ったりとかしています」
―初めてグリコヴィンテージを聞いた時には意外でした。
エザキ「個人的にも、自分がお金も稼ぐようになって何かの服を買って嬉しいっていうのはなくなっていたんですが、ヴィンテージはやっぱ嬉しいですよね,これ見つかったとか、こんなのあったとか,なんか1個Tシャツを見つけた時とか喜びとか全然違いますね。そういう喜びがあるのはいいなって思います」

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