寺村優太×永井信之対談「美容師の成功へのステップ」

SNSの普及により、新しい時代に入ったサロン業界。それにより働く手段も増えている。中でも注目されるのは「独立開業」。今回はその道のプロと美容師SNS活用の先駆者の、一歩先を見すえた対談を実施。本誌では収まりきれなかったフルバージョンをお届け！

寺村優太（iii代表取締役CEO）

WEBを活用して美容師の働き方に新風を起こしたイノベーター。商品開発、書籍出版、VR伝道師とマルチな才能を発揮する、美容師×○○という働き方の先駆者でもある。

永井信之（美容師専門の不動産屋　B-OPEN）

美容室開業を支援する企業「B-OPEN」。金融関係＆物件案内に強く、さらに美容系ビジネスキャリアの豊富さで高い支持と信頼を集めている。

B-OPEN→→ https://b-open.jp/

―そもそも美容師は独立開業という選択肢はもっているべきだと思われますか？

寺村「知っておいた方がいいと思います。サロン経営にはこういうお金がかかるんだとか、ここが一人でやると難しいんだとか、ちゃんと勉強しておくのは大事だと思います。それを知って、逆に今自分がいるサロンの環境のほうがいい、この会社で一緒にがんばりたいと気づくこともあると思いますし」

永井「弊社は美容室開業のサポートをする会社ですが、美容師の方はお金や物件を借りる知識、今の雇用条件が自分に合っているかどうか、それを判断するための知識がない方が多いと感じています。美容技術だけじゃなく、その知識もおしえてあげなきゃいけないと思うんです。自分の売り上げが本当はいくらなのか、それに対して給料はいくらなのか。今は昔と違って雇用側がそれをオープンにする場合もあるので、ちゃんとそれを知ることで、自分がそこにいるべきか、フリーランスになるのか、独立するのかを判断して決めるのはいいと思います。今はほとんど知識がないのに判断してしまっているからもったいないなと思っています」

寺村「以前は会社側と雇用される側で知識格差があったので、悪い言い方をすると、やりがいに訴えて利用する、「美容師はお金じゃないんだ！」とか美化していっていたことがあったと思うんですが、今はそうじゃない。会社側は、知識を与えて、知識を持った状況でも一緒にこの会社で頑張りたいかと思わせられる条件とか、環境などを整えていくことが必要だと思います」

永井「寺村さんとは、僕たち世代が若い頃に上の世代に対して思っていた「古い」とかが、巡り巡って起こっているんですね、なんて話していたんですが。今は知識を与えていくことが美容師さん、オーナーさんにとってもいいことなんじゃないか、美容をもっと底上げしていくことにつながるんじゃないかと思います」

―独立開業で大変なことはなんですか？

永井「一番はお金です。次が物件。弊社が支持される理由はお金と物件に力を入れているからかなと思います」

―必要なのは経営の知識とおっしゃっていますが、具体的にはどういうものですか？

永井「まず数字が大事です。経営には多くのパターンがありますが、その基礎は数字です。イニシャルコスト、販管費などなど、まずは数字から始まります。美容師のうちから事業計画書を作成してみるとわかると思います」

寺村「美容室って、継続の方が難しいんです。美容師さんって、今売り上げがあるからって出したがりますが、10年後に今の売り上げがあるかっていうと……それに席数を多めに出す傾向があるんですよ。スタッフが増えた時のためにって。でも実際にはそうはいかない。スタッフもアシスタントからスタイリストに育ってきたら自分でもお店をやりたいってなりますよね。だから自分の売上で美容室を回していく以外にも、育てた人材がその後もそこで働きたいと思える環境を作るとか、将来どんな展望があるとか、ちゃんと設計しておかないといけない。永井さんがいいなと思うのは、小さい規模から始めましょうっていって、きちんと身の丈に合った提案をしてくれるんです」

―永井さんは、経営にはマネタイズするための戦略も必要とおっしゃっていますが。

永井「いっぱいあるんですが……例えば僕のストーリーで言うと、マネタイズポイントをたくさん考えるようにしています。もともと僕はディーラー出身なんですが、ディーラーって材料を売って終わりなんですよ。それだとマネタイズポイントが１種類しかない。でもうちは10種類くらいあるんです。店舗仲介、内装工事、美容什器、美容材料などマネタイズポイントを増やしていく。僕はそういう横の展開を考えます。

美容師におきかえると、施術して店販やって終わりじゃなくて、一人のお客様で複数展開ができることってあるじゃないですか？　一人のお客様に対していろんなことを紹介していく、すると課金課金になっていく。美容師×◯◯もそのひとつだと思います。まだ郊外や地方はほとんどないですから、これからだと思います」

B-OPEN→→ https://b-open.jp/